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【コラム】 スピッツ:放浪カモメはどこまでも
「今日は水曜?ケンはジュクだっけか?」 僕はは半ズボンのポケットに手をツッコミながらなおとに聞く。 「はやくふゆやすみになんねえかな?」なおとがをまさぐりながらつぶやく。なおとは人の話を聴かない上に気の早い奴だ。 「まだ2学期が始まったばかりらろ?」と僕。誤植じゃないよ、当時へんな語尾が流行ってたんだ。「やっベー爆竹教室に忘れてきちゃった、チャンマン悪りー、先に基地行っててちょ」本当に話しを聴いてない。ときどき”こいつわざとじゃないんだろうか?”と思う。 基地は空家をそのまま使っていた。学校帰りには丁度良い場所にあって木造2階建だ。当然あやゆる入り口にはカギはかかっていたが、エアーガンで窓を割って中に入っった。僕となおとがヘッケラー&コックを買った日にケンと3人でその空家の窓ガラスを割り捲くったのを覚えている。今思えば犯罪行為だったんじゃないだろうか?と思うほど酷いことだが当時は罪悪感なんて微塵も感じなかったんだ。ただ楽しければ人の迷惑なんてどうでも良かった。 空家の中はからっぽだったけど、粗大ゴミの収集日に使えるものを持ちこんで基地にしていた。折りたたみの机やら木製の椅子、MDしかかからないデッキ。電気はなかったから電池は家から持ってきた。元々は学校と基地の間にある住吉公園を溜まり場ししていたんだけど、隣の小学校のシムラ達の溜まり場になっている。僕らは公園を放棄したと考えていたけどシムラ達は占領したと思ってたに違いない。キッカケは忘れたけどとにかく僕らとシムラは抗争のような事になっていた。特に表面化したあの日の事は今でもはっきり覚えている。 シムラはルガーをランドセルから取り出すとマガジンを確認した。カドに隠れていた見張りが声をあげる。「来た!」。シムラがみんなに持ち場につくように指示する。なおとは基地までの近道に良く使う細い路地にはいると足を止めた。目の前にシムラが立っていた。手にはルガーを持っている。なおとはすかさず来た道を戻ろうと考え振り向くとそこにはシムラの仲間が立っていた。完全に囲まれていた。 基地についた僕はラジカセでお気に入りの曲を集めたMDを聴いていた。うまか棒をくわえながら、デザートイーグルにBB弾を詰め込んでいると泣きながらなおとがやってきた。ひきつった声で最初何を言ってるのかわからなかったけどどうやら、シムラ達に襲われたらしい事はわかった。ボコボコにされたなおとの足が青あざになっている。僕はだまってなおとの背中をさすってやった。スピッツの”放浪カモメはどこまでも”が鳴っていた。詩の意味なんてまったくわかんなかったし、わかろうともしなかったけど力強い感じが好きで最近の僕の日常にヘヴィーローテーションで流れていた。音楽って気分で聴くもんだと今でも思っている。なおとの悔し涙は陽が暮れても止まなかった。 Written by Grecoviche at 2000-10-24 00:00:00 |
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